マッチ

 あまり意識はしなかったが、見かけなくなったもののひとつにマッチがある。いまも当たり前にあると思っていたのだが、改めて探してみると〝無い〟。

 日常的にはほとんどマッチが要らない環境になっている。これまで一番使うのがガスの点火であった。これは、ガスを圧縮して火花を飛ばしたり、電池でニクロム線を加熱したりするようになりマッチの出番がなくなった。商売のかたは着火マンを使うかたも多く見受けられる。

 マッチの出番、二番目はおそらく煙草であろう。これは最早百円ライターの世界である。あるいはジッポー。そして、そもそも喫煙人口そのものが減っているようだ。

 三番目はおそらく仏壇のお線香。これはどうしているのだろう? もしかしたらまだマッチの出番かもしれない。

 その次くらいが理科の実験かもしれない。アルコールランプへ火をつける時、どうしているのだろうか。やはりマッチかな。

 マッチではないが、マッチ箱もいろいろ使われていた。一番はなんといっても検便であろう。採取した便をマッチ箱につめて提出。これは、便の採取方法が変わって、マッチ箱が要らなくなった。

 とまあ、マッチの出番が減れば、当然ながらマッチが手に入りにくくなってきた。昔は喫茶店やレストランには店名の入ったマッチが置かれていた。これを収集する趣味のひともたくさんいた。ちかごろはほとんど見かけない。

 この先、マッチはどうなるのだろう。もしかしたら、マッチを擦ることができない人も出現しているのかもしれない。