最近、紐の出番がすっかり減ってしまった。資源ゴミを出すときに新聞、雑誌を束ねたり段ボールを縛ったりするくらいにしか使われていないのではないだろうか。棄てるために縛る。そんな使われかたしかしていない。しかも、新聞、雑誌は専用の紙袋にいれて出すことも増えている。ますます、紐の出番が減ってくる。紐にとってさぞかし不本意なことだろう。

 昔は荷物は箱に容れ、紙で包み、紐をかけた。小包はそうした。店で買い物をしてもそうだった。紐にかける持ち手なんてもののあった。木製の箱には紐の変わりに荒縄をかけた。そういえば、紐はともかく、荒縄なるものをまったく見かけなくなった。

 包み紙や紐は丁寧に剥がし巻き取って、次の出番に備えた。ものが少ない時代では当然のことだった。減ってきた包み紙や紐をいまでも大事にとっておくひともいる。ほとんどが昔を知っている老人だが。だが、そうして残しておいた包み紙や紐に次の出番がなくなっている。たまるいっぽうである。

 ものを大事にしているつもりが、要らないものを後生大事とっていると、逆に諫められたりもする。はい、わたしも残しておくほうなので(笑)