正月の遊び

 昔ながらの正月の遊びといえば、室内では双六、歌留多に福笑い。家族合わせ、なんていうゲームもあった。ちょっと高級になれば百人一首、低俗に落ちれば花札といったところであろうか。

 そとでは、凧揚げ、コマ回しに羽根つき。

 凧は竹ひごに和紙を張った和凧。四角い形をしているのでバランスを取るのが難しい。四隅から糸を張るのでこれもバランスを取るのが難しい。新聞紙の尻尾で安定性を調整する。あげる前の調整墓なり大変だ。むろん、あげるにもコツが要る。

 外国から入ってきたゲイラ・カイト。形が三角形なので最初からバランスが取れている。糸も一点結びなので調整の要なし。三角形の底辺に(折り畳むために外されていた)骨を差し込むだけで準備完了。難しい調整はなし。あとは、風を腹に受ける方向に向ければあっという間にあがってしまう。事前調整もあげる技術も特には不要。

 コマ。正月だからと言って、普段(のベーゴマ)とはちがうコマをまわしただろうか。これはちょっと不明。簡単に回るコマとしては、これは当時から「地球ゴマ」というものがあった。原理は良くわからないが、とにかくよく回る。回りはじめたら、倒れることなく、ずうっと回り続けている。まあ、この地球ゴマは科学玩具で、正月とは直接は関係ないが。

 さて、羽根つきである。本当に羽根つきをやったひとはどれくらいいるだろうか。綿入れが着いていたりして、あの羽子板は振りまわすに適切なものではない。しかも固く、しなりもしぼりもない。また、羽の先についている黒いたまも固く、弾力はない。これではまともに打つことはできない。ラリーなんてできようはずはない。なので、やっていてつまらない。昭和に限らず、その前にさかのぼっても本当に羽根つきを楽しんだひとがどれくらいいるのか、聞いてみたい。ラリーを楽しむならバドミントンのほうがずっと楽しい。

 というふうに、昔の正月遊びは、けっこう難しく、また、それほど楽しいようには見えないのだが……。