2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ピアノの音

昭和のころ、休日の午前、午後はピアノを練習する音が角々から聞こえてきた。練習なので間違えたり、つかえたり、同じ所ばかりを繰り返していたりもする。上達する過程を知ることもできた。 小曲ばかりなので、軽い気持ちで聞くことができ、柔らかく和(なご…

消えた東郷青児

以前はごく当たり前のように目にしていたが、近ごろとんとみかけなくなったものがある。 東郷青児の絵もそのひとつだろう。青白い独特の色遣い、なよやかな曲線、エネルギッシュではないが、それでいてにじみ出てくる生命。上品、繊細、女性っぽさ。 絵を言…

印刷——謄写版、青焼き、ゼロックス

昭和の印刷といえば謄写版である。原稿は、蝋引きの原紙に鉄筆で文字や絵を描く(つまり蝋を剥がす)。失敗したことろは鉄筆の頭でこすると、蝋がもどり消すことができる。わら半紙の上に原紙を置き、その上にインクをつけたローラーを転がすと、鉄筆で蝋を…

内職

かつては内職に携わる人も少なくなかった。在宅での仕事である。ほとんどは、こまごましたことをきわめて低額な単価でこなしていた。 近所では造花づくりをするおばさんをよく見かけた。何処で使うのか知らないが、明らかに一目で作り物とわかる花にかなりの…

小包

いまでは小包と言う言葉自体廃れてしまった感がある。宅急便/宅配便が始まって、荷物を送るのが画期的に楽になった。 かつては木箱が主体であった。段ボールはまだ普及していなかった。みかん箱もリンゴ箱も木製であった。この木箱に荷物を詰め、フタ(もち…