内職

 かつては内職に携わる人も少なくなかった。在宅での仕事である。ほとんどは、こまごましたことをきわめて低額な単価でこなしていた。

 近所では造花づくりをするおばさんをよく見かけた。何処で使うのか知らないが、明らかに一目で作り物とわかる花にかなりの需要が会ったようだ。細長い緑色の紙に薄く糊をつけて芯に巻き付けていく。これが茎になる。それだけの仕事が。花びらや葉っぱは別の仕事になる。茎だけを何本か作ると何円かになる。数仕事である。

 袋貼りもあった。これは確か、袋作り。宛名書きではない。DMが左官になるのはもう少し先。この時代は、売るときにものをいれる紙袋の需要があった。それを手作りでつくる。これも何袋かまとめて何円という世界。

 業者が材料を置いていき、後日あるいは後刻回収にきて出来高払い。

 いまはもう、こういった内職はなくなってしまったのだろうか。

 パソコン、ネットワークが普及し、いっときはSOHOの時代が来るとも言われたが、そうなれば内職も復活、と思われたが、現状はどうなっているのだろうか。

 在宅で仕事をするために必要なものを最初に買わせ、そのまま仕事はもってこない、といった悪どい商売はときおり耳にするのだが。