昭和の犬の名前には工夫がなかった。定番のポチに体色からシロとかクロなどおざなりの名前が多かった。 少し後になってコロという名前が一時流行した。これは、確か、「コタンの口笛」という連続ラジオ・ドラマがあって、そこに登場する犬の名前に因んでいる…

昭和の夜は暗かった。街灯は数が限られ、しかも一つ一つの明るさは今の比ではなかった。ぼんやりした光がところどころで灯っているといった程度だった。門灯を点けている家のそう多くはなかった。 街が薄暗いので歩くひとも少なかった。それで夜は寄り寂しか…

匂いの次は音の思い出。町の音もだいぶ様子が変わってきた。今回は消えてしまった町の音の記憶。 まずは物売りの声。 金魚売りやラオ屋の売り声はよく話題になるけれど、わたしにははっきりとした記憶がない。焼き芋や竿だけ売りは肉声ではなくなったがいま…