野良犬

 野良犬もほとんど見かけなくなってきた。

 かつては野良犬がそこかしこにいっぱいいて、道を歩くのがこわかったこともある。野良犬に追いかけられて、ゴミ箱に飛び乗り難を逃れたこともある(そういえば、ゴミ箱も路地から消えてしまった)。

 かつてジョギングをしていたころに怖かったのも野良犬である。遠くに野良犬を見かけると、可能であればコースを変えた。犬のいるほうへ行かざるを得ないことも多々あった。そんなときは祈るしかなかった。目を合わせないように気をつけて、知らんぷりして通り過ぎようとした。それができないときは走るのをやめ、歩いて通り過ぎた。

 そんな野良犬であったが、最近は見かけることがほとんどない。飼い主の自覚が上がってきたと考えて良いのだろうか。

 散歩で歩いている犬以外はみかけなくなった。野良犬どころか、外で飼われている犬も激減しているように思われる。犬や猫は原則、室内で飼うようになってきたのだろうか。こわがりにはよいことだが、当の犬や猫にとってそれはよいことなのだろうか。