仁丹
かつてはポケットに仁丹をしのばせている大人がたくさんいた。あのスーとする感覚がよいのだろうか。あるいは煙草などの口臭消しのため?
チューインガムが普及しても、仁丹派は頑固、仁丹派であった。
それがいまはどうだろう。仁丹を持ち歩いているひとはまだいるのだろうか。仁丹ケースを見かけなくなって久しい。仁丹を口に放り込む仕種もみかけない。あのにおいも漂ってこない。フリスクに取って代わられてしまったのだろうか。最後に仁丹を見たのはいつのことだろう。
愛好家がいつの間にか減ってしまったのも不思議だが、そもそも、かつてそんなにたくさんの愛好が居たことのほうがが不思議かもしれない。外国に大看板が建つほどの、あのブームは一体何だったのだろう。そんなこと言ったら関係者に叱られるかもしれないが……。