おしめ

 死後になりそうな言葉をひとつ思いついた。それは「おしめ」。いうまでもなく、赤ちゃんがお尻に当てるもの。大小便を受け止めるもの。

 それは永久に必要だろう、って。もちろん必要です。だけど、それを「おしめ」と呼んでいるだろうか? 多分、ノーだと思う。

 今はみな「おむつ」と呼んでいる。むかしは、「おしめ」とも「おむつ」とも呼んでいた。木綿の布を輪っかにしたものである。

 変わってきたのは紙製の使い捨てがでてきてから。紙製のものは、どれも「おむつ」と称している。なぜか「おしめ」とはいわない。そして、いま、ほとんどのひとが紙製を使用するようになってきた。布派は壊滅状態であろう。それとともに、「おしめ」という呼びかたもなくなり、「おむつ」一辺倒となってしまった。

 紙製の商品がひとつの言葉を消してしまうことになる。考えようによっては恐ろしいことかも知れない。