懐中電池・電信柱

 先の大震災に続く停電。なんのことかはわかるが、考えてみれば変な名前をよく耳にした。言っているのはかなり年配のかた。そういえば、昭和のころは普通に耳にした。

 それは〝懐中電池〟。なんだかわかりますよね。そうです。〝懐中電灯〟の言い間違えです。なぜ、間違えたのか。当時のひとには、電灯という言葉よりも電池のほうがなじみがあった。電灯より電池のほうが言いやすかった。まあ、そんなところでしょう。

 懐中電池は単なる言い間違えが広く流通したものだが、もうひとつ、前々から気になっている名前がある。

 それは、〝電柱〟。いや、電柱はおかしくない。おかしいのは電柱の元になった言葉。電柱の元——それは〝電信柱〟いや、電信柱は間違えではない。でも、ちょっと変。なにがって、

 電信といえばそれは電話や電報など電気を使った信号のこと。で、実際の電柱はどうかというと、

 むろん、電話線もある。が、はるかに多いのは、電線、つまり動力としての電気を運ぶ線。

 なのに、それを支える柱が電信柱というのはちと解せぬ。なぜ、〝電力柱〟としなかったのか。まあ、どちらも電柱だから構わないのだが。

 懐中電池、電信柱。どうでもよいことにこだわり過ぎでしょうかね。