大掃除

 いまどきの大掃除のメインはなんであろうか? 油だらけの換気扇? まあ、そんなところだろう。毎年、いろいろな方法、道具、洗剤などが紹介されている。メインの年中行事なればこそ、であろう。

 では、昔の大掃除のメインイベントは? それはなんといっても畳あげでしょう。家中の畳を上げて、天日に干す。裏表をとりかえて日に当てる。いっぽう、畳のあった部屋では、畳のしたにあったゴミやほこりを掃き出し、下に敷いてあった新聞紙を取り出し新しいものに取り替える。大がかりな作業なので、一家総掛かりである。

 電気掃除機なんてなかった。くぼんだところのゴミを吐き出すのはけっこう難しい。うまくいかなければちりとりですくい取る。取り出した古新聞を思わず読みふけってしまうのは、しばし漫画などで取り上げられるとおり。ちょうど一年前の記事である。忘れていたことのほうが多い。読んで思い出すこともあれば、まったく思い出せないこともある。一年という時間の経緯を知る絶好の機会であった。

 手のない家庭にはそれとなく、手伝ってくれるひとがいる。

 いまでは大掃除で畳をあげる光景を見かけることもほとんどなくなった。高層住宅ではやりたくともできない。あげた畳を干すところがない。

 そもそも、畳そのものも減っている。が皆無ではなかろう。ということは、畳は、日に当てることも、風に当てることもなく敷きっぱなし。大丈夫なのだろうか。

 なお、昔は換気扇の掃除は話題にはならなかった。なぜならば、換気扇そのものがなかったから。