荷造り

 いまや宅配便が当たり前になり、大変便利な世の中になっている。小包の世界に関しては宅配前と後では大いに様相を異にしている。

 宅配というシステムそのものの違いは当然として、それ以外の面でもいろいろ変化している。荷造りの方法もそのひとつである。

 今では、段ボール箱に詰めガムテープで留め、専用の宛名シートを貼ればそれでおしまい。

 宅配便以前の荷造りははるかに厳重だった。段ボール箱に詰めガムテープを貼るところまでは同じ。ここからが違う。まず段ボール箱を丈夫な包装紙で包む。このとき、包装紙は裏返して使用するのが普通。その上から麻紐を縦横に掛ける。そして、包装紙に宛名を油性のマジックインクや毛筆で書く。さらに宛名を書いた荷札を二枚麻紐に結ぶ。これでようやく完成。

 包装紙を裏返して使うのは宛名を見やすくするため。麻紐を掛けるのは、運ぶ人の便を図るほか、乱暴な取り扱いによって荷がバラバラになってしまうのを防ぐため。荷札はたくさんの荷を積み上げても宛先がわかるようにするためでしょう。

 とまあ、荷造りは結構大変な作業だった。また、荷造りをするために、包装紙や麻紐は保管しておくのが当たり前だった。

 クロネコやまとが新事業を立ち上げ、大成功を収めたおかげで、利用者であるわれわれもかなり楽をすることができようになった。その結果、気軽に宅配便を利用し、業者が潤うことになる。共存共栄の結構よい循環かもしれない。