貸しおしめ
貸しおしめ屋という商売があった。
昔はおしめは布製だった。さらしを輪にしておしめとしていた。むろん使い捨てではなく、汚れたたら洗ってまた使う。
この洗うのが一仕事である。また、干すのも大変、さらに干す場所を確保するのも大変。赤ちゃんは待ってくれない。特に梅雨時など乾きにくい季節には苦労する。
ということで、おしめを貸し出す商売が発生した。汚れたおしめを回収し、洗ってまた貸し出す商売である。
それなりに繁盛していたのではなかろうか。ボディに「貸しおしめXX」と書かれたフェアレディZというかっこいいスポーツカーを見かけたこともある。おそらく、嫌がる息子にスポーツカーを買い与え、貸しおしめ業を手伝わせていたのだろう。
だが、やがて廃れるときもくる。使い捨ての紙おむつが布おしめを駆逐し、貸しおしめ業も廃業に追い込まれてしまった。
そうそう、初期は紙おむつのことを、先行の商品名「パンパース」と呼ぶことが多かったが、これも変わってきた。
ささいなこどでも時代と共に変化しています。