傷薬

 昭和の傷薬といえば、なんといっても赤チンである。マーキュロクローム液。赤いから赤チンである。チンとはなんぞや。

 赤チンよりも協力な傷薬と思われていたのがヨーチン。茶色ないしは紫っぽい色をした薬である。ヨードチンキ、略してヨーチンである。

 傷に塗っても赤チンはあまりいたくなかったが、ヨーチンは痛かった。だから、傷がひどいとき以外は赤チンの出番だった。そうそう、ヨーチンに対しての赤チン、なのだろう。

 さらに消毒に特化したのがオキシドール。オキシフルとも言われたが、こちらは商品名ではなかっただろうか。シュワシュワと泡がでていかにも効きそうな感じがする。これも少し滲みる。

 ヨーチンに対して赤チンと呼ばれていたマーキュロクロムだが、それは多分商品名マキロンの語源であろう。ヨーチンも赤チンも好ましくない成分が入っているといわれるようになって、代わって出てきたのがマキロンである。マーキュロクロムが語源にもかかわらず、赤くはなく透明な薬である。痛みもあまり感じない。

 世の中はまだまだマキロンの時代がつづいているようだ。が、わたしはもっぱらうがい薬のイソジンを消毒薬として使っている。こちらはヨーチンの系統でしょうね。因みに消毒薬としてのイソジンNASAのお墨付きで、月の石を持ち帰る際の消毒に使われたとのことである。