おしろい

 昭和の時代、おしろいという白い粉がありました。関西など、天花粉(てんかふん)と呼ぶ地域もあったようです。丸い缶に入った白い粉で、缶の中、粉の上には缶と同じサイズのパフが収まっていました。吸水効果あるのか風呂上がりなどでよく使われていました。赤ちゃんが一番使っていたようですが、女児にも人気があったようです。ほのかな香りもありました。

 いつのころか、おしろいは消えてしまいました。いえ、シッカロールと名を変えて生き続けていました。さらに、ベビーパウダーという意味のない名前に変わってしまいました。ベビーパウダーはおそらくはいまでも生き続けていることと思います。

 とにかく、おしろいという名は消えてしまったようです。そうなると困ってしまうのがオシロイバナ。夏に赤白黄色の花をつける草です。この草は、花が終わると黒くてまん丸の種をつけます。この種を割ると中は真っ白。オシロイバナの名の由来です。ままごと遊びでも本家のおしろいの代わりにされていました。

 ところが本家のおしろいがなくなってしまうと、のれん分けされたほうは立場がなくなってしまいます。名前の由来を説明しようにも、肝心の本家がわからなくては話になりません。

 こういう例ってほかにもありそうですね。