網棚

 電車の網棚。座席上方に設置された荷物を置く棚である。昭和のころもあったし、いまでもある。

 が、昭和の網棚は文字通りの網棚であった。現在の網棚はすべて金属で作られているが、木製や金属製の支えに網が張ってあった。網棚という名前の由来でもある。

 網はいつの間にか金属の構造物に取って代わられたが、名前だけは残っている。網でできているからではなく、座席上部の荷物置きの棚を無条件に網棚と呼んでいる。

 同じようなことは下駄箱にもいれる。もともとは、ゲタを容れていたので下駄箱。いまは、下駄ではなく靴を容れているのに名前は下駄箱のまま。履き物を容れる棚を無条件に下駄箱と呼んでいる。

 こんな例、他にもありそうだ。

 そうそう、電車で思いだした。吊り革はなぜ吊り革と言うのだろう? 網棚とは趣旨が違うので、これについてはいずれまた。