ぞうり袋

 昭和の通学時の持ち物のひとつにぞうり袋なるものがあった。

 昭和の小学校で校舎に入るときは上履きに履き替えなければならなかった。そして、学校には個人用の下駄箱はなかった。となると、上履きは各自が持ち歩かなければならない。その上履きを入れて持ち歩くための袋がぞうり袋。縦長で腕が通るサイズのm地手がついていた。

 小学校での履き物の基準はころころ変わった。土足で校舎へ上がれるようになった時期もあった。が、これはすぐにすたれてしまった。校舎の床を油引きした時期もあった。この時も上履きは必要。

 が、いっときをのぞいては、校舎内外で上履き/下履きに履き替えるのが原則であった。なので、上履きをぞうり袋にいれて持ち歩いた。

 やがて、学校に個人用の下駄箱ができた。そうなると、ぞうり袋は不要? いやいや、まだ必要だった。それは、週末や学期末に上履きを持ち帰るため。持ち帰るのは盗難防止と洗濯のため。とうことで週末と学期末にはぞうり袋の出番があった。このため、普段はぞうり袋を下駄箱に置いていく生徒もいた。そんなこともあって、使う日は限られるようになったものの、ぞうり袋はまだまだ馴染みのある品物であった。

 上履きを持ち帰る必要性、頻度はいまも昔も大きくは買わないだろうと思うのだが、ぞうり袋を見かけることはほとんどなくなってしまった。どうしてだろう。いまはどうやって上履きを持ち運びしているのだろうか。