歌集

 かつては歌集というものがあった。家の中に何冊かころがっていた。

 歌集というのは歌の歌詞だけを書いた冊子である。対象となる歌は幅広い。民謡、童謡、唱歌ロシア民謡、歌謡曲などなど。

 この歌集はどこで手に入れるのか。いろんなところから手に入れることができた。歌声喫茶、観光バスは店内、車内で唄うために配っていた。配られてものは気前よく持ち帰り可能だった。明星、平凡といった雑誌の付録となることもあった。居酒屋にも置いてあった。もっとのこれは店内専用、持ち帰り禁止だったようだが。

 歌詞を見ながら、覚えている曲に乗せて歌う。むろん、カラオケなんてもののなかった時代の話である。