運動靴

 昭和の時代は運動靴だった。スニーカーなんて言葉はなかった。

 ちなみに運動会になると運動靴にしようか、地下足袋にしようか、それとも裸足でいこうか、と迷う子どももたくさんいた。走る前にサロメチールを塗ると速くなるという信仰もあった。それはさておき、

 さて、運動靴である。メーカーはアサヒ、世界長、月星の三社で分け合っていたように覚えている。ミズノや鬼塚もあったかもしれないが、こちらは運動選手専用で万能靴ではなかった。ちなみに鬼塚はタイガー・ブランドを出し、さらにはアシックスへと発展していった。

 ミズノ、鬼塚ですら手が出ないのだから、アディダス、プーマなんてえのは名前すらしらない。ナイキやニューバランスは会社そのものがあったかどうか。

 メーカーではなく、用途でもなく、その形であこがれの的だったのは、バッシューことバスケットシューズ。足首まで覆うごっつい靴がかっこいいと思われていました。もっとも履いているのは十七八のお兄さんばかり。小学生にはいませんでしたね。いまは、アディダスやナイキを履いている小学生はざらに見かけるのに。

 さて、昭和の三社、どこもいまもなお健在のようだ。めでたきことなり。アサヒのウォーキングシューズは、ちょっと前まで五年ほど履いていました。むろん、ノスタルジックな気持ちも手伝って。