窓ガラス

　昔はガラスをよく割った。ガラス自体が脆弱で割れやすかったこともあるが、割ってしまうような行為もよくやった。

　その筆頭が野球であろう。昔はちょっとした空き地があれば、そこで軟球下手投げもしくはソフトボールを使って野球をやった。打ったボールが空き地の隣家によく飛び込んだ。庭先に落ちたボールを拾いにいっては怒られた。

　それはまだまし。ときには、ボールが当たってガラスが割れてしまった。おっかなびっくり謝りにいく。そしてガラス代の弁償。隣家の人も心得ていて、毎度のことなので金額を把握していたりもする。うんざりしているのでグチっぽいお小言も多い。

　また、ときには子ども達でガラス屋さんを呼んできて入れ替えてもらいあとで代金を支払うこともあった。

　ガラス代は高い。小遣いでは足らず、親の懐を煩わす。このときにまたお小言である。

　というふうに当時のこどもはよく怒られた。

　いまはガラスも強くなり、またボールが飛び込むような家のあるところでは野球をやらなくなった。野球オンリーではなく、野球以外のことでも遊べるようになったこともある。こいれを多様化というのだろうか。

　いやそうじゃなくて、大人がいてきちんとしたルールの下でなければ野球をできなくなってしまったのかもしれない。これは悲しいことだろう。