こなぐすり

 昔のお医者さんはよく粉末の薬を調合してくれた。〝とんぷく〟といっていた。頓服と書く。Aの薬を何グラム、Bの薬を何グラム、それを一緒にする。これを〝調剤〟というのだろう。

 四角い紙の上にAとBを測って乗せ、対角線方向に折り曲げると三角になる。その三角形の二つのかどを内側に折り曲げ、こんどは頂角を折って、先ほどの底角の折り返しに差し込む。

 こうしてできたホームベース型の包みがなつかしい。調剤というのは、その患者さん個人のための特別仕様のような感じがし効きそう思ってしまう。ホームベース型の紙に包まれた粉薬はそのひとだけの特別な薬である。と思うと、なんとなく効きそうな気がする。

 こうした個別対応や手作業もめっきり減ってしまった。