おつかい

 こどものころはよくお使いに行かされた。買い物である。その買い物のスタイルがいまとはちょっと違っていた。

 量り売りという売りかたも多かった。たとえば、味噌はしゃもじですくってきょうぎに乗せ、重さを量って幾らということになった。ついでながら重さの単位は匁(もんめ)だった。

 容器を持参することも多かった。例えば醤油は空き瓶を持って行き、樽から注いでもらって一升幾らという買い物だった。量り売りではないけれど、豆腐やおでんも鍋を下げて買いに行った。

 いま、思いだしてみると、お使いを言いつかるのは、この容器持参のものが多かった。ほかの買い物と一緒にするのは大変なので、それだけを言いつけられたような気がする。けっこう大変だったがなつかしい。

 そんな経験のせいか、とうふなどは水に浮いているほうが(パックにはいってものよりも)ずっとうまそうにみえる。