カレーライス
昭和のカレーライス――まだライスカレーというほうが優勢だったかもしれないが――は今とほんの少しだけ違っていた。
まずは盛り付け。左側にご飯があって右側のカレーを自分でかけて食べるようなスタイルではなかった。まして、カレーとご飯が別々に出てくるようなことはなかった。昭和のカレーは皿一面に均等にご飯が盛られ、その上全体に均等にカレーがかかっていた。
食べかたも少し違っていた。まずはスプーンを水の入ったコップに浸して湿らせる。場合によっては、水の入ったコップにスプーンが入って出てくることもあった。スプーンを湿らすのはご飯がくっつきにくくするためだろう。
スプーンにソースをすり切り一杯入れ、それを全体に均等にかけ、ご飯とカレーとソースをかき混ぜる。そして食べる。
ソースはウスターソースのようなさらっとしたもの。とんかつソースはまだ出回ってはいなかった。
ソースをかけなくなったのは、カレーの味付けや好みが変わったためだろう。では、盛り付けが変わった理由は? 最初から一緒にしないほうが上等に見えるから、だろうか。