座席の下にごみ

 昭和の時代、列車の座席の下はゴミ箱だった。食べ終わった駅弁やらお茶の容器、みかんの皮、読み終えた新聞や雑誌もみんな座席の下に押し込んでいた。煙草の吸い殻まで座席の下に押し込むひとがいた。

 公共心がないわけではない。むしろこうするのが暗黙のマナーだった。ごみは座席の下に隠すのが当たり前だった。

 ごみが散らかっているのは見苦しいが、見えないところに押し込めればとりあえずはOKという風潮だった。まあ、これは公共心の欠如とか良し悪しというよりは、時代というものであったのだろう。