安全カミソリ

 かつて、ひげを剃るのは安全カミソリ。いまはどうだろう、電動式が大半を占めているのではなかろうか。安全カミソリも数は減っているが根強い人気がある。が、これらはシックやジレットといった特殊な刃先をもった安全カミソリである。これらの刃はそれでしか使えない。

 かつての安全カミソリの刃は、両刃と片刃とがあったが、どの安全カミソリにも入れることができた。いや、安全カミソリだけではない。ボンナイフという商品名のナイフもあった。特許権など権利にうとい当時のことである。簡単な構造のボンナイフには模造品もたくさんあった。それらのナイフはどれも安全カミソリの刃(片刃でしょうね)を入れて使うようになっていた。

 安全カミソリ(の刃)は、ひげをそるだけでなく、いろいろな用途で使われていたのだ。やや特殊なところでは、顕微鏡で見るプレパラートを作るにもなくてはならないものだった。標本をごくごく薄く切るには安全カミソリの刃が最適だった。むろん、価格も安いので使い捨てに近い利用方法をとること、つまりいつも切れ味が鈍っていない新品を使うこもができた。

 昔ながらの安全カミソリが廃れてしまったのだから、おそらくその替え刃もほとんどなくなってしまったことだろう。ひげそり以外の大概の用途は、刃を折って使うカッターナイフで代用されているだろうけれど、プレパラート作りのような繊細な作業はカッターでは難しいだろう。超薄刃のメスかなにかがあるのだろうか。あったとしても安くはないだろう。研究者も大変だ。