交通整理のお巡りさん

 交通量の烈しい交差点の真ん中には、朝礼台のような台があって、そこにお巡りさんが乗って交通整理をしていた。笛をくわえ、警棒をもって、進め/停止を指示していた。

 なかには、ダンスパフォーマンスよろしく、切れの良いきびきびした動作を見せるお巡りさんもおり、話題になったり、ときにはテレビやニュース映画にも登場していた。なんでもない日常業務が、きびきび切れをよくすることによって、大いなるパフォーマンス、見せるものへと変化しました。

 まだ排気ガス規制など無き時代、お巡りさんの立っているのはかなり大気汚染された環境ですね。また、乱暴な運転手や未熟な運転手がいれば危険な場所でもありました。

 そもそも、信号がしっかりしていれば、そしてそれが守られれば必要の無い仕事でした。それが必要とされたのは?

 信号が信用できなかったから? 信号が守られなかったから? それとも……?

 交通整理は過去の話かもしれないが、いまも職人技をパフォーマンス的に見せるひとはいるようだ。