ピックアップ・カー

 昭和の自動車というとミゼットをはじめとするオート三輪となってしまいますが、忘れられないのがピックアップ・カー。

 ピックアップというのは小型のトラック全般の総称のようですが、わたしのイメージはもう少し限定されます。

 それは、乗用車の車台を使って作られた自動車で、エンジンルームから運転席までは、ほぼ乗用車と同じ形をしている。乗務員スペースはそれだけで、後部座席はなく、後ろはオープンな荷台になっている車をイメージします。乗用車の後ろ半分を無理やり切り取って、そこに荷台を付け足したような感じがします。前から見れば乗用車、後ろから見ればトラック、横から見ればお洒落なピックアップ・カー。乗用車感覚なので塗装もカラフルです。

 いっときはまったく目にしなくなりましたが、最近ときどき見かけるようになりました。クラシックカー的な愛好家がいるようです。まとまって走っていたり、駐車されているのも見かけます。

 機能的にはハイエースのようなトラックそのもので良いはずなのに、どうして乗用車っぽくなっているのか。それが、お洒落なのではないでしょうか。

 確かに、ピックアップを見かけると持ち主のセンスがうかがえるようで、乗用車よりもお洒落な感じがします。スポーツカーを自慢するひとよりも、磨き上げたピックアップを運転しているひとのほうにセンスを感じます。