給食はまずかった

 給食を懐かしがる声も聞こえてくるが、わたしにとって給食は苦痛以外のなにものでもなかった。とにかくまずかった。

 脱脂粉乳はさほど苦手ではなかった。ボソボソのコッペパンもダメではなかった。それなのに給食はまずかった。そんなものではなく主食がダメなのだ。いや、主食そのものではなく、その中の肉がダメだった。

 とろとろして油っぽい肉。その臭いも苦手だった。硬くてかみ切れない鯨。塊のまま飲み込まざるを得なかった。いま、鯨を懐かしがるひとがいるが、わたしにとっては思い出したくはない代物である。

 調理法がなかったのか魚はあまり出なかったように思う。あるいは、肉ほどには苦手ではなかったので、記憶に残っていないのかもしれない。

 給食の肉があまりにまずいので、肉そのものが嫌いになってしまった。ご馳走と言われていたすき焼きですら苦手になってしまった。

 おかげで背が伸びなかった。当時タンパク質の大切さを知っていれば、大豆などでもタンパク質を取ることができることを知っていれば、もう少し栄養に注意して背が伸びたかもしれないのに。

 みんなみんな給食が悪いのだ。ということにしておこう。