絵本の紙

 昭和の絵本は厚紙に印刷されていた。

 が、この厚紙は厚紙に非ず。一枚の紙ではない。やや厚めの紙を何枚か貼り合わせて作られた紙なのだ。

 で、子どものころの楽しみのひとつに、その厚紙を剥がすことがあった。厚紙を剥がすと、そこに別の絵(元の絵)が現れてくる。一粒で二度美味しい本なのだ。

 といっても、出てくる絵につながりはないので、もう一冊読んだ気分にはならない。なので、新しい絵が出てきても、本当はなんら面白みはない。でも、剥がすと絵が出てくる、そのこと自体がなんとも愉快だった。