天井板

 いまは壁紙や漆喰、化粧合板、あるいはコンクリートの打ちっぱなしが多いようだが、かつての家の天井には生木が貼られていた。下々の家では、吟味された高級な板ではなく、安っぽい板が使われていた。

 本物の板だから、一枚一枚木目が違っていた。節があったり、抜けていたりする。病気で寝ているときなどは、この天上板を飽きることなく眺めていた。ずっと眺めているとなんとなくむなしくなったりもした。

 いまはそうもいかない。シミでもなければ、天井は何処を見ても同じである。世の中が味気なく感じるようになった原因のひとつはこんなところにあるのかもしれない。