ペンホルダー

 卓球の話である。かつて日本の卓球は強かった。世界屈指の実力だったように覚えている。

 当時はペンホルダーというラケットの握りかたが主流であった。この握りかたが小器用な日本人に向いていたのだろう。なので強かったのかも知れない。

 が、そのころから、シェークハンドという握りかたが出始めていた。おもに、ヨーロッパ系の選手が採用していたように思う。

 シェークハンドのほうが力強さを感じさせる。コツコツと小器用にペンホルダーで返しているところへ、シェークハンドで強引に、力づくで打ち込んでくる。大雑把なような気もしたが、残念なことにシェークハンドに分があるように思われた。

 ラケットの握りかたで出遅れたせいかどうかはわからないが、日本の順位はどんどん落ちてしまった。

 とまあ、一流選手のことはどうでもよいのだが、わたし自身はいまだペンホルダーしかできない。まあ、この歳になって卓球をすることはなかろうが、やりたくともペンホルダー用のラケットがあるのかどうか気がかりである。

 卓球に限らず、水泳の回転ターン、走り高跳びの背面跳びなど、当時はまだ採用する選手が少なかった手法がいまや主流、というかそれしかないといった状況になっていることも多々あることだろう。