サッカーW杯

 ブラジルで開催されてサッカーのワールドカップはドイツの優勝で終了した。

 ところで、ワールドカップというものを多くの人が知ったのはそう昔ではない。おそらくはJリーグが始まって以降のことであろう。

 1972年のメキシコ・オリンピックでサッカーの日本代表が三位となり、世間が浮かれていたことがある。ときおり話題となる、釜本・杉山の時代である。このとき、世界にワールドカップなるものがあり、オリンピックなんて目じゃない、といったらポカンとされたしまった。ワールドカップでなんじゃそりゃ、といった体である。

 日本ではワールドカップのことはほとんど知られていなかった。一方で、三位になって喜んでいたオリンピックはアマチュアしか参加できなかった。なので、プロのない共産圏の国が上位をしめていた。なので、オリンピックを頂点としない競技はたくさんある。サッカーはその最たるものである。

 世界的にはそんな状況なので、アマチュアのオリンピックより、プロも参加できるワールドカップである。が、オリンピックよりワールドカップを観ている人のほうが多いといっても当時は信じてもらえなかった。

 昭和のサッカーはそんな微笑ましい状況だった。国内のトップリーグ日本リーグの公式戦でも土のグラウンドで試合をしていた。

 Jリーグが発足し根付いて状況が変わってきた。ファンの目が海外にも向くようになってきた。ファンだけではなく、実際に外国の名門チームで活躍する選手まで現れた。ワールドカップに日本が出場するなんて夢みたいな話である。昭和の頃には高すぎて知るひともなかった大会に、予選を勝ち抜いて出場できるようになったのである。ワールドカップなんて遠い存在だと思っていたものにとっては大いなる驚きである。

 ただし、ブラジルの大会を観ても上位に入ったチームとはポテンシャルがまだまだ違う。でもまあ、そのうちに個々のレベルを向上し、また、独自のプレイスタイルを身に着けることによって上位に食い込む日が来るかもしれない。なにがどうなるかわからない世の中だから。それまで生きていられるかどうかわからないけれど。