お使い
さほど多くはないが、お使いに行かされた。スーパーやコンビニはなかったので、それぞれを扱っている店に行く。
容器に容れて売られているものもほとんどなかった。
豆腐を買う時は鍋を持って行く。鍋に豆腐と水を入れて、持って帰った。屋台のおでんや(※)も近くまで来たが、買うのはやはり鍋持参である。
※酒を供するおでんやではなく、もっぱらお総菜としてのおでんを売る屋台
醤油は瓶を持って買いに行く。味噌は直接、経木に包んでくれた。醤油も味噌も量り売りである。
どれも持ちやすいものではない。鍋などは両手で持たなければならない。なので、一箇所で買い物をしたらそれだけで帰るしかない。だから(母ひとりでは持ちきれないので)お使いに行かされたとも言える。寄り道もできない。途中で落として怒られたこともある(どれも、落としたらおしまいである)。
というわけで昭和のお使いはけっこう辛いものがあった。けっして楽しいものではなかった。わが家の場合、お駄賃ももらえなかったし……。