あの頃の老人は見かけより若かった
昔、老人だと思っていたひとたちも、当時の年齢は結構若かった、ということがある。
就職した職場にはもうすぐ定年というひとたちがいた。それ相応のお年寄りだと思っていた。が、よくよく考えてみれば、当時の定年は五十五歳。いまのわたしより、十歳も若いではないか。
自分や友達の父親というもの、相当な年寄りに見えた。だけど、当時は十歳くらいの子供である。ということは、その父親は四十前後である。なのに、いまの自分よりも更けていたような気がする。
さざえさんの父、波平さんだって、まだ、会社勤めしているということは五十代前半であろう。だけど、すっかり老熟しているように見える。
他人から見た、私自身の年寄り具合は良くわからない。だけど、なんとなく、むかしの同じ年頃のひとたちよりは若いような気がしている。願望もあるかもしれないが。
いまのわかものからみて、いまのわたしはいかほどの〝年寄り〟に見えているのだろう?