家族会議
昭和の時代に「家族会議」とかいうものがあった。
実際にそんなことやっている家族があったかどうかは知らないが、いろんなところで家族会議なる言葉を目にした。また、テレビドラマなんかにも家族会議のシーンが現れた。
要するに学級委員会みたいなことを家族でやるのが家族会議。テーマを設け、家族ひとりひとりが対等な立場で論じ合う。民主主義とやらが高じるとこうなるのであろうか。
会議の形をとってはいないが、『若者たち』という映画やテレビドラマもそんな感じなのだろう。家族で口角泡を飛ばして論じ合うシーンがふんだんに挿入されていた。
まじめだったんだなあ。まあ、ゆとりがなかった、といえなくもないが。
なあなあ主義、曖昧、和を尊ぶ日本の文化とは馴染まないものだった。
一方で、伝統→封建的→好ましくない。その逆に、進歩的なこと=よいこと と考えも少なくはなかったのだろう。こういうひとたちにとって、家族会議は身近な民主主義としてもてはやされたようだ。本人たちが実践したかどうかは別として。
その後、家族会議は、言葉ほどには普及することもなく廃れてしまったようだ。
これは、民主的なことが疎んじられたわけでもないように思われる。どちらかというと、正面から物事をとらえるのが好まれなくなったためではなかろうか。あるいは、まじめ(ぶった)態度で議論することにわざとらしさや恥ずかしさを感じるようになったからかもしれない。よくわかりませんが。