電車で漫画を読む

 少年サンデーとマガジンが世に出たのはわたしが小学生のころである。そのころは、漫画週刊誌は子どもが読むものであった。

 ジャンプが加わったころから様子が変わってきた。大学生が漫画を読み、サラリーマンも読むようになった。いま、思ったのだが、これはわたしの歳と同じかもしれない。わたしが大学生になったころの大学生は漫画を読んでいた。わたしが社会人になったころ、サラリーマンも漫画を読むようになった。

 最初は、食堂や喫茶店で。すぐに、電車の中でも読み始めた。そんな光景に眉をしかめるひともいたが、ひるむことなく、ますます増殖していった。

 網棚にある漫画は読んでも構わない。読み終わったら網棚へ返すべし。そんな暗黙の了解もできていた。網棚の本を持って帰ってはいけません。

 ところが最近、電車の中で漫画を読むひとをあまり見かけなくなった。いや、電車の中だけでなく、食堂や喫茶店でも見かけない。

 食堂で読む漫画は週刊誌などの雑誌ではなく、もっぱら単行本である。漫画喫茶は別として、漫画を読む雰囲気の喫茶店そのものがなくなってしまった。電車ではもっぱらスマホ、ケータイである。

 漫画週刊誌は衰退していくのだろうか?