尺貫法

 子どものころ、メートル法を使うことは決まっていたが、一方で尺貫法もまだいきていた。

 貫匁の目盛りのついた秤で体重を計っていた。太ったひとは百貫デブだった。足袋は当然ながら文(もん)、靴もまた文であった。ジャイアント馬場の足は十六文であった。家の寸法は尺であり寸で、広さはむろん坪。体積は合・升・斗。一合とっくり、一升瓶、一斗樽など。

 それがあるときから、尺貫法は一切禁止ということになってしまった。小学生のわたしは、とくに問題なくメートル法を使えたが、困ってしまったひともたくさんいたようだ。尺貫法は人間を基準とした尺度なので、便利なことも多々有ったようだ。人間を基準としているということで、フート・ポンド法とかなり似ている。フィートを尺に置き換えてもさして違いはでない。

 永六輔さんなどは、尺貫法復活を唱えて活動していたが、残念ながら復活はならなかった。が、基準単位として尺貫法が生きている場面はまだまだたくさん残っているような気もする。すぐには思いつかないが調べてみるのも面白そう。

 わたしは尺・寸、合・升は換算できるが、匁・貫、文は見当がつかない。おそらくこのあたりが、名残の有無の境目ではなかろうか、と密かに思っている。