肝油

 肝油なる健康食品があった。なんかのさかなの肝臓から抽出した脂肪分(だったと思う)。これを食べやすくしたもの。カワイの肝油ドロップとかいう商品もあった(ある?)。

 業者とのなれ合いがあったのか、学校でもちょくちょく売られていた。そういえば、当時は学習雑誌などを学校が販促(?)していた。学校や教師が謝礼を貰ってやっていたのだろうな、多分。

 その肝油であるが、効能はビタミンAとD。当時はそれらが不足していたのだろうか? そんなことはないようにも思うのだが、学校が斡旋すると、栄養指導上好ましいもののように思ってしまう。が、印象としては薬、サプリメントというよりはおやつ感覚であった。

 当時ではまだおやつは贅沢な時代。栄養食品とはいえ、肝油はおやつ代わりにもなるものだった。ただし、一日一個に限定されていた。てっきり、もったいないからだと思っていた。

 いやいや、ビタミンAやDは油溶性ビタミンである。過剰摂取しても水溶性なら自然に排泄されるが、油溶性はそうはいかず体内に蓄積されてしまう。これは良からぬことである(らしい)。だから一日一個に制限されていたのだろう。だけど、肝油ドロップ、おやつである。一個以上食べてしまうのも珍しくはなかっただろう。

 なお、我が家では買ってもらえませんでした。友達が持って帰るのをうらやましく見ていました。気の良い友達に一個もらったので食したことはありますが。肝油ドロップそのものより、どうしても買ってもらえなかった印象のほうが強く残っている。