膏薬

 頓服の話をしたが、貼り薬では膏薬という言葉を耳にしなくなった。

 いや、貼り薬はいまも健在である。が、これを膏薬とは呼ばずに湿布薬と呼ぶようになった。なぜだろう?

 膏薬といえば、サロンパス、トクホン、メンフラなどなど。どことなく、疲労回復薬、肩凝り解消薬と勝手に思い込んでしまう。

 一方、湿布薬となるとインドメタシン配合の痛み止めのイメージが強い。つまり、直すのではなく現状を楽にするための薬のイメージ。

 膏薬といえば、体中にベタベタ膏薬を貼って土俵にあがる相撲取りがいた。あれは、湿布薬ではなくまさしく膏薬であろう。その違いはさておいて。その相撲取りの膏薬も最近はほとんど見かけなくなった。相撲取りはテーピングが主になった。ついでだが、足袋を履いて土俵に上がる相撲取りも見かけなくなった。こちらはどうして足袋を履いていたのかがわかりませんが。

 まあ、個人的なイメージは別として、膏薬という言葉を耳にしなくなったのは、確かである。膏薬も頓服もものは残っているのに、言葉は無くなってしまった。どうしてほかの言葉に取って代われたのであろうか?