火事が減った?

 子どものころに比べて、火事の恐怖が減ったような気がする。そう思うのは、消防車の走る音を聞くことが少なくなったことにあるようだ。

 で、本当に火事が減り、消防車の出動が減ったのだろうか。よくよく考えてみたら、どうもそうではなさそうだ。確かに、消防車の走る音を耳にすることは少なくなった。でも、それは……、

 昔は、緊急車両のサイレンはすべて、「ウーウーウー」であった。パトカーも救急車もそして消防車もみな「ウーウーウー」だった。その「ウーウーウー」を聞くと、まずはみな火事だと思ってしまったようだ。交通事故や救急患者はまあ他人ごとであるのに対して、火事の場合は自分のところまで広がってくる可能性がある。だから怖い。それで、サイレンを聞くとまずは火事だと思ってい舞うのだろう。パトカーや救急車のおともみな消防車と思い込んでしまっていたようだ。なので、実際の何倍も火事があったような気がしていた。

 時はかわり、パトカーは「ブアブアブア」に変わり、救急車は「ピーポーピーポー」と変わった。なので、「ウーウーウー」は火事だけである。「ブアブアブア」「ピーポーピーポー」の分だけ「ウーウーウー」が減ったことになる。それを火事が減ったと勘違いしたのだ。

 いまは、「ピーポーピーポー」が圧倒的に多いですね。「ウーウーウー」は滅多に耳にしません。昔もそうだったのでしょうね。

 話は変わりますが、消防自動車は「ウーウーウー」に併せて、「カンカンカン」と鐘を鳴らしながら走ります。あの鐘は手動で鳴らしています。ところで、それはなぜ? 「ウーウーウー」だけでは足らないのだろうか。わかりません。「カンカンカン」と鳴らすことで、消防士みずからの士気を鼓舞しているのかも知れません。真相や如何に。