スーパーマーケットはかっこいい

 いま、スーパーといってまっ先に思い浮かべるのは〝安い〟ということであろう。確かに安い。コンビニは安くないけれど、スーパーは安い。

 いや、昔も、スーパーというのは安く買い物ができるところだった。対面式の販売を止め、客は自分で陳列棚から商品をとって、それを自分でレジまで運び、そこで代金を支払う。人件費を切り詰め、また、大量仕入れによって、原価を抑え、低価格を実現していた。

 が、昭和の子どもにとって、スーパーの第一印象は必ずしも低価格にはなかった。値段以上の魅力があったのだ。

 その魅力は、スーパーが用意した買い物かごをぶら下げ(当時はまだ自家用車が普及して折らず、買い物は自分でぶら下げて帰った。なので、多くを一度に買うことはできなかった。ということがあって、キャスター付きのカートはまだ一般的ではなかった)、陳列された商品を自分で選び、自分の手でかごにいれ、レジまで運ぶというスタイルが、時代の先端性を感じさせた。

 陳列されている商品もそれまであまり見かけなかったものがたくさんあった。まずは缶詰。輸入品もたくさん並んでいたし、国産品でも乾物屋さんでは見かけないものが置かれている。レタスやセロリ、パセリといった野菜も珍しかった。フランスパンや山型の食パンも珍しかった。テレビ(アメリカのホームドラマ)で見たことがあるが、実物を見るのははじめて、というものがたくさんあった。

 要するに、スーパーということろは、アメリカンすなわち時代の先端で〝かっこいい〟ところだったのだ。その上、値段も安いのでいうことなし。

 というのが、当時の子どもスーパー感である。