ペンホルダー

 一時は日陰者となっていた卓球だが、近ごろは以前のごとくメジャーになってきた。それで、テレビでもときおり中継されるのだが……、

 ラケットの握りかたを見ると、全員がシェークハンド。四本の指で握る持ちかただ。昔は、ペンホルダーという握りかたもあった。これは親指と人差し指で握る持ちかたである。

 かつての日本では、ペンホルダーが主流であった。外国でシェークハンドが増え、それが日本にも伝わってきて、シェークハンドのひともぼちぼち出始めた。損な時期があった。

 そのころから卓球の凋落がはじまった。それがいま、ふたたび興隆してきた。

 そして気がついたら、ほぼ全員がシェークハンドである。おそらくは、シェークハンドのほうが合理的なのだろう。

 なんとなく不思議に思う。新しく始めるひとがシェークハンドを採用するだけではない。テレビで高齢者が卓球をしている光景がときおり流されるが、この高齢者もみなシェークハンドである。このひとたちは、おそらくは昔はペンホルダーであっただろう。それが、どの時点かでシェークハンドに転向したのだ。全員そろって! こんなことってあるのだろうか? わたしはいまだにシェークではラケットを握れないのだが……。