切符

 スイカパスモを使って電車に乗るのが普通になってしまい、切符を買うことが激減した。まあ、現金をちゃらちゃらして切符を買う手間が減ったし、乗り換えやら予定変更もぐんと楽になったので悪いことではないと思っている。

 が、昔もなつかしい。無論、いまでも切符は使われている。自動改札を利用できるように、裏に磁気情報を記入できる薄いけれど丈夫な切符である。

 改札が自動化される前は、分厚い紙の切符だった。改札では、テンポ良く鋏を鳴らし、合間に(?)切符を切っていた。あれもまた職人芸であった。

 午前中は短辺を切り、午後は長辺を切るなどして不正乗車を見つけていたようだ。もっともこの方式だと、駅に長くいるだけで不正を疑われてしまう。駅ナカなどのなかった時代だから良いのかも知れないが。

 厚紙全盛だった頃、関西の私鉄ではペラペラの紙が使われていた。安っぽい感じがした。ペラペラな紙なので、クルクルと丸めて、耳の穴にいれているひともときどき見かけた。あれはなんだったのだろう?

 また、関西では、十枚分の値段で十一枚綴りとなった回数券を買い、これを一枚づつ定価で売る商売も成り立っていた。十一枚売って、一割のもうけである。むろん、あまれば大損となる。客にとっては、愛想の悪い窓口に並ばずに手早く買える、とう利点があった。別に不正な商売ではないと思うのだが、おそらくは見苦しいという理由で、万博の頃だかに排除されてしまったようだ。

 時代時代でものが代われば新手の商売も現れるものだ。