ラブホ

 ラブホテル、略してラブホ。説明するまでもないだろうが、旅行などの宿泊を目的としたホテルではなく、男女間の営みのためのホテルである。馴染みやすい良い名前だと思う。

 ラブホと呼ばれる前は、連れ込み旅館であった。これはあまりにも無粋でかつ陰湿な名前である。また、連れ込みというと、双方合意ではなく、無理矢理連れ込むというニュアンスを感じてしまう。かくして、いかがわしい場所となってしまう。

 地図などで旅館を温泉マークで現すことがあったため、逆さクラゲと呼ばれることもあった。温泉マークが、脚を上、身体が下になったクラゲ、つまり逆さまになったクラゲに似ていることからの愛称である。これもまた、陰湿なよからぬことをイメージしてしまう。

 そこへいくと、ラブホというのは、あっけらかんとしていて、乾いた感じがする。気軽に利用したくなりそうな名前である(ホント?)

 呼びかたひとつでかくも違ってしまう。また、近ごろは、双方合意があたりまえとなり(?)、強引な連れ込みというのも減っているのであろう。

 いっとき、ブティックホテルとかいう、わけのわからない名前に置き換えようとする動きもあったが、いまではなりを潜めている。これはいきすぎ、凝りすぎであろう。ラブホのままで良いと思う。