アイスコーヒー

 アイスコーヒーの季節である。いや、冬でもホットよりアイスを好む人がいるほどである。アイスコーヒーは一年を通しての飲み物となってきた。

 さて、そのアイスコーヒーであるが、これがいつごろから〝アイスコーヒー〟と呼ばれるようになったのか? と、言いながらわたしは一切知りません。気がついたらそうなっていた。

 乱歩の『D坂殺人事件』で明智や語り手が飲んでいたのが、〝冷やしコーヒー〟。 聞き慣れないせいか、どうにも不味そうな気がしていけない。なんとなく、生ぬるくて、ズルズルすする飲み物のような語感だ。これはいけません。

 関西では、〝レイコ〟と言われることが多い。最初聞いたときは〝冷凍コーヒー〟かと思い違和感を感じたが、よくよく考えてみれば、〝冷たいコーヒー〟をまず文字で〝冷コー〟と縮め、それから読みを〝レイコー〟〝レイコ〟となったのでしょうね。これもなんとなく常連さんの符牒風であまり好きにはなれません。

 本場アメリカではどう言っているのか? いえ、アメリカには冷たいコーヒーを飲む習慣がそのものがないようです。従って呼び名もありません。ただ、〝アイスティー〟は実態・名前ともに普及しているので、コーヒーも実態があれば呼び名は〝アイスコーヒー〟となるような気がします。なので和製英語ではなく、多分本場もOKな英語とし使ってもかまわないのではないでしょうか。少なくとも〝レイコ〟よりは英語っぽいし、〝冷やしコーヒー〟よりはうまそうな響きである。