街頭地図

 街頭地図というものがあった。いや、今でもあるかもしれない。

 その街の商店などの地図である。たいていの場合、記載はまばらである。全商店が記載されているわけではない。それはなぜ?

 それは、地図制作者に代金を支払った店だけが地図に載るからである。裏を返せば、地図制作者は、地図掲載者から金をもらうことを第一としているのだ。地図を掲げて街のひとの便宜をはかるのは二の次である。

 ということで、お金を払わなかったところは載らない。目印となるはずの、銀行や郵便局、交番、スーパーなども払わないから載らない。

 というわけで非常にわかりにくいものになっている。地図の縮尺はいい加減、大小は必ずしも現実を反映しるとは限らない。方角もめちゃくちゃなものが多い。北が上というなら普遍的。設置されている地図の向こうが上というのもわかりやすい。が、現実はそんなことはおかまいなし。一体どっちを向いているのかわからない。目印もないし、現在位置も描いてない。なので、役立たずと化している地図が多い。と、断言してしまうのは無謀だろうか。でも、お金をもらっている以上、掲示しなければならないので掲示されている。掲示できる場所は限られているのか、あるところには何枚かの地図がかかっている。むろん、相互の関係はない。なので、余計にわかりづらくなる。

 さすがにこんな地図は減ってきている。代わって、絵地図風のものが増えている。これは好いことであろう、多分。