ノーキョー

 かつて一世を風靡したもののひとつに〝ノーキョー〟がある。農業協同組合、いまのJAである。

 一世を風靡したのは農協そのものではない。農協が主催した海外旅行団体である。むろん、悪い意味でノーキョー、ノーキョーと言われていた。

 いわゆる、日本人の汚点丸出しの団体ツアーである。どこへいっても日本を引きずり、日本の風習のまま過ごす。とにかく群れる。傍若無人、大声で話す(いまの中国人も同じだが)。金にあかして土産や(時には性風俗を)買いまくり、顰蹙をかっていた。相手に合わせようという気持ちがない。

 そのノーキョーという言葉をほとんど耳にしなくなった。JAに変わったからではない。JAという言葉もあまり耳にしない。

 力が衰えてしまったのだろうか? あるいは、国際化のマナーが行き渡り、目立たなくなってきたのだろうか? 後者ならよいのだが。まあ、最近は、大きな団体で行動すること自体が減ってきたようでもあるが。