A4そして平成

 いま、一般的な紙のサイズはA4にほぼ統一されているが、三十年ほど前はそうではなかった。A系とB系が入り乱れていた。どちらかといえば、技術系はA4を、事務系はB5を主に使っていた。

 その後、情報量の多い(つまり面積の広い)A4に統一される兆しが見られるようになった。そうなれば、ファイル等の文具も統一することができる。知的生産者たちもA4を後押しした。

 最後まで抵抗(B5を義務づけ)したのが、契約書や決裁書などの正式文書。これは、お役所がB5を採用していたから。

 その後、なにがあったのかしらないが、お役所の紙もA4になった。これで民間の正式文書もめでたくA4となった。いまではB5が主流となっているのは便せんやノートくらいだろう。

 いまの時代、まだ同じようなことが残っている。それが元号。民間企業や個人レベルでは西暦優勢であろう。本来なら保守的傾向(元号指示傾向)のある定年間際のひとたちでさえも西暦派が優勢のようだ。それはかれらが昭和と平成の二つの元号を経験しているからだ。二つの元号にまたがる場合の計算の面倒なこと。64から昭和を引いた数に平成を足して、昭和64年と平成1年は同じだから……とわけがわからなくなる。西暦なら引き算一発で済む。

 あきらかに西暦のほうが便利なのに元号が続くのは役所が元号を使っているから。役所では元号が要求される。それにならって、民間の正式書類にもいまだに元号を用いるケースも残っているようだ。いつぞやの紙のサイズとおなじことが、いまもまだ続いている。役所とは世の中の足を引っ張る存在なのだろうか。