正月

 昭和の正月はどうだったのだろう。今とどう違っていただろう。

 正月にはもっと重みがあった。正月は特別な日、その日に向かって、時には突貫でいろいろ準備し、正月にはなにもしなかった。むろん、店はみな休み。みんなが正月休みだった。

 テレビも多様性にとぼしく、みんなが同じ番組を観ていた。

 そして寒かった。住宅の機密性はとぼしく、暖房も貧弱、衣類もスカスカ、栄養も不十分。とにかく寒かった。なので、炬燵に潜り込んで何もしなかった。

 でもまあ、なんだかんだといっても、正月は普段とは違う、非日常の特別な日だった。楽しかったかどうかは別として、いつもとは違う、特別な時間を過ごしていた。それが正月だった。