木彫りの熊、大黒さま、福助人形

 なぜだか良くわからないのだが、鮭をくわえた木彫りの熊をよく見かけた。これは北海道土産の定番で、元はアイヌの作品だったような。

 旅行というものがさぼど普及していたようには思えないし、北海道に親戚が居る家もそう多くは無いだろうし、出張も控えめだった時代である。

 どうして、各家庭に1個といえるほど木彫りの熊があったのだろうか。考えてみれば不思議なことである。

 同様に、黒い陶器製の大黒様を飾っている家も多かった。これは、金運にあやかりたかったのだろう。ストレートでよろしい。

 福助人形を飾っている家も少なくなかった。あの福助は、一般的なものなのだろうか? それとも福助足袋のマスコット。足袋を買うと抽選で当たったのだろうか? これが一番わからない。

 どれもこれもすっかり影を潜めてしまった。いまの時代、家庭に立体像はそぐわないのだろうか?